学校法人足立学園:Power Platformによるアプリ開発支援
背景
東京・北千住にある中高一貫の私立男子学校、学校法人足立学園(以下、足立学園)。2015年より教育のICT化に取り組み、オンラインコミュニケーションツールMicrosoft Teams(以下、Teams)を導入し、教職員と生徒、全員がTeamsを介してコミュニケーションをとりながら学びを得ている学校です。また、日本の中学校・高等学校で唯一の「Microsoft Showcase Schools」として認定されています。現在約30名の教師が「Microsoft認定教育イノベーター」として認定されており、生徒によりよい学びと体験を提供するため、教育現場へのITの導入に積極的に取り組んでいます。
教育改革と業務改善への高い意識から、同校の杉山 直輝氏は以前より、マイクロソフト社が提供する、実用的なビジネスアプリケーションを最小限のプログラミングで開発できるPower Platformに着目していました。しかしながら、具体的な使い方がわからず活用できずに困っていたといいます。そんな時、マイクロソフトテクノロジー活用のプロフェッショナルであるアバナードに出会い、Power AppsとPower Automateを活用したアプリ開発のワークショップをスタートしました。
ソリューション
週に一度、オンラインで定例ワークショップを実施。実際の現場で課題となっていた「新型コロナウイルス感染症対策のための、検温およびその管理の仕組み」を題材に、業務改善のための「検温管理アプリ」開発に着手しました。
教師による教師のためのアプリ開発を支援するため、アバナードはサポート役として伴走。教師自身が構想し、手を動かすことで、開発を進めました。教師は授業以外にも細かな業務が多く多忙ですが、その合間の時間を使ったアバナードの効率的なワークショップで、アプリ開発のコツをつかむことができました。
開発にあたっては「現場に負担をかけないこと」に配慮。
生徒たちに混乱を招かないこと、利用する教師達の年齢層・業務内容・得意・不得意など、多くのことに気を配りながら、誰もが使いやすいアプリの実現を目指し、現行の仕組みを踏襲する形でアプリ開発が実施されました。
成果
現場から意見をもらいながら修正を重ね、ワークショップのスタートから約半年で正式に「検温管理アプリ」をローンチ。評判は上々で、明らかな業務効率化につながっています。
従来は、アンケート作成ツールのMicrosoft Forms(以下、Forms)を活用し、生徒に毎朝の体温を入力して送信してもらうことで、全校生徒約1,500名分のデータを収集していました。副校長先生ひとりでそれらデータをすべて取りまとめ、エクスポートし、エクセルに添付。そうして作成・送付されたデータを元に、各教師が生徒の体温を日々チェックしていたため、全生徒の体温チェックに1日あたりそれぞれ1時間ほどを要していました。
現在はアプリを導入したことで、約1,500名の体温チェック業務が約10分にまで短縮。アプリ操作も簡単で、画面を数回クリックするだけで生徒の体温チェック及び管理が完了できるため、業務負担は大幅に減少しています。
「教師として一番大切にしたいのは、生徒に向き合う時間。管理や事務的な作業に時間を費やすのではなく、生徒との時間をできるだけ多く確保したい」と杉山氏は話します。
今回、アバナードにはアプリ開発を委託するのではなく、支援してもらうという形で、自分で構想し手を動かしてアプリ開発を実現しました。ここで得た知識やスキルは、一回限りではなく汎用性があります。次の業務効率化に生かすことができます。また、Power Platformを活用したアプリが開発・導入されたことで、Power Platformそのものに興味を持つ先生方も増えているそうです。それは、さまざまな業務改善につながるだけでなく多方面でプラスになると、杉山氏は今後の教育環境作りにさらなる意欲を示されています。