テクノロジーだけにとどまらないAI導入への備え
デジタル トランスフォーメーションについて学んだことのすべてを基盤として、AIの活用により絶え間なく変化する新時代に向けた最善策が必要に
ChatGPTやMicrosoft Copilotなどのツールを使用した人工知能 (AI) の民主化は、絶え間ない変化の中でイノベーションや改革を進めるという、まったく新しい挑戦を生み出しています。新たな形でAIが利用しやすくなることで、ユーザーはより大きな可能性を手にしました。これは同時に、デジタル テクノロジーを「変革の源」とする考え方に転換していく必要があるということです。
AIの普及で変化は加速する一方となり、これまでに直面したことのない課題にも、絶え間なく対応していくことが求められるようになるでしょう。ビジネスやITの専門家3,000人以上を対象にアバナードが実施した調査 によると、従業員の95%がAIの可能性に期待を示しています。しかし、多くがAIに肯定的で、組織の技術力に自信を持つ一方で、人的資本、人員計画、責任あるAIポリシーを適切に導入できているとの回答は半数以下にとどまっています。これは、膨大なスキルアップとデジタルリテラシー向上に向けた、新たな取り組みが必要であることを表しています。では、デジタル デバイド(情報格差)の新たな波に対して、どのように対処すればよいでしょうか。
アバナードのグローバル調査では、絶え間ない変化の中で、従業員、プロセス、プラットフォームをAIに対応させるために、企業が多くの課題を抱えていることが示されています。新たな変革へのアプローチが必要ということです。
AI導入への備え:今こそ必要なこと
アバナードの調査によると、競合他社に遅れを取らないためには、2024年末までに92%の企業がAIファーストの業務モデルに移行する必要があることが明らかになっています。AIが仕事に与える主な影響について、3,000人以上のビジネスやITの専門家のうち、4分の1の回答者が効率性向上のほかに、創造的なアイデアやイノベーションの促進に期待を示しています。これは、業務モデルの変革だけでなく、その目的や価値提案も変革する可能性があることを強調しています。さらに、従業員のイノベーションが進むことで、既存のクラウド、データ、セキュリティへの投資から、より多くの価値を引き出せる可能性も生まれます。
生産を急ぐ誘惑は常に存在しますが、AIを活用した価値創出への取り組みは、テクノロジーのことだけにとどまりません。絶え間ない変化の中でAIを活用して、成果を実現するためには、人材とプロセスへの準備も積極的に行う必要があります。そのためには、明確なAI戦略と、組織のビジョンや価値観に基づく堅牢な「責任あるAIフレームワーク」の両方が必要となります。
一刻も早くAI導入を
競争力を維持して、創造性とイノベーションを高めるために、企業はAI導入を迫られていると感じています。しかし、AIの受け入れについて組織の準備が整っていると確信を持つCEOは、わずか3分の1に過ぎません。
AIが変える、責任あるビジネスのあり方
従業員の80%近くが、2024年までにAIが1週間の労働時間のうち、最大20時間の業務に影響を及ぼすと予測しています。同様に85%は、顧客がAIを活用したやり取りの準備ができていると考えています。しかし、組織は責任あるAIの安全策を講じているでしょうか?
責任あるAIのための、耐久性と拡張性に優れたフレームワークは、テクノロジー プラットフォーム、プロセス、人材に起因する新たなAIのリスクについて、評価や対処を促進します。また、責任あるAIフレームワークを確立することで、新たな形で企業価値を実現し、AIガバナンス プロセスに具体的に反映させる原則や行動も確立する機会が生まれます。しかし、責任あるAIのための完全なガイドラインとポリシーを導入している企業は、わずか48%に過ぎません。
終わりのないAI導入への取り組み
AI導入への備えは継続的な取り組みです。アバナードの調査では、AIの受け入れ準備について、リーダーの感じ方に差があることが強調されています。たとえば、CFOの58%は、組織の幹部が生成AIとガバナンスの必要性を理解していることに確信を高く持っていますが、同じレベルで確信を持っているCEOは36%に過ぎません。
これは驚くことではありません。AIが人の可能性を引き出し、個々がより多くのことでベストを尽くすことのできる時代は、今まさに始まりにあります。マイクロソフトがAIの技術で先頭に立ち、業界や体験を再構築する新たな可能性を切り開く一方で、AIの民主化はまったく新たな課題を絶え間なくもたらですしょう。
社会政治的状況、規制、倫理、働き方など、AIとその影響について、すべてを把握できるわけではないことに慣れていく必要があります。とはいえ、実証実験、準備、拡張のプロセスの中で、ビジネスの成果を予測として把握することは可能です。調査から得たインサイトや、世界各国で多くのお客様を支援してきたアバナードの経験により、マイクロソフトへのこれまでの投資からより多くの価値を引き出し、絶え間ない変化の中で行うAIを活用した変革に向けて、従業員、プロセス、プラットフォームの準備を支援するための、主な原則が明らかになっています。
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AI導入への備え:実現を目指して
実証実験
実証実験
機敏性と革新性に優れたファクトリー モデルの手法を適用し、AIを活用して機能横断的な改善を目指し、ビジネス ケースの明確化を促進する連携アプローチです。たとえば、世界有数のある高級自動車メーカーは、人材ファーストの原則を採用して、従業員の知識を最大限に引き出すことのできるユース ケースを、AIで優先的に実験するために、アバナードの支援を利用しました。
準備
従業員、顧客、エコシステム パートナーの育成と強化を目指して、AI導入に向けた準備状況の評価を頻繁に行い、人材ファーストのために「やるべきこと」を優先して行います。グローバルで活躍するある税務顧問事務所は、AIを活用して従業員と顧客のエクスペリエンスを改善しつつ、業務の効率化とコスト削減も実現したいと考えていました。そこでアバナードは、従業員、プロセス、プラットフォームのAI導入準備状況を評価し、変革の促進に向けて「やるべきこと」を実践していくためのロードマップを作成しました。
拡張
持続可能なガバナンスと、倫理、インクルージョン、セキュリティを組み込んだ「責任あるAIフレームワーク」は、絶え間ない変化の中でも、AIで持続的に価値を定着させて、実現に導きます。大手金融サービス企業への支援では、責任あるAIフレームワークに沿って、法務プロセスと顧客対応チーム全体に生成AIを拡張し、応答時間を大幅に短縮させて販売コンバージョンを向上に導き、最終的に毎年数百万ドルの価値を生み出す見込みです。
AIから価値を引き出すには「なぜ」が必要
AIを活用した新しい製品やサービスのイノベーションには、「北極星」のような明確な目標と、堅牢な責任あるAIフレームワークが必要ですが、クラウド、データ、セキュリティへの既存の投資から、より多くの価値を引き出すことも忘れてはなりません。
AI導入に向けて、従業員、プロセス、プラットフォームの準備で「やるべきこと」を優先的に取り組むには、以下の要素を検討する必要があります。
- ビジネス戦略は、生成AIの成長と影響を予測したうえで更新されているか。
- 生成AIで影響を受ける従業員のプロセスと役割は、社内で明確に理解されていると確信しているか。
- 生成AIとガバナンスの必要性について、組織の幹部の理解と意欲に、どの程度の確信をもっているか。
- Copilot for Microsoft 365などの生成AIツールを最大限に活用して、イノベーションを行うにあたり、従業員のオンボードやトレーニングに、どの程度のサポートが必要だと考えているか。
- 生成AIを使用できる従業員とそうでない従業員の間に、どのような違いが生じるか。
組織と従業員のAI導入準備を迅速に支援
アバナードのアドバイザリー サービスでは、AIを活用した持続可能な価値実現に必要となる検証、準備、拡張への継続的な取り組みを通して、お客様とパートナー関係を築き、マイクロソフトとの特別な連携で、常に競合他社よりも敏速にビジネスの好機をつかめるよう支援します。