三菱地所:Microsoft Teamsを活用した社内コミュニケーション ツールの「アジャイル開発」で働き方改革を支援

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背景

三菱地所株式会社が策定したグループ全体の「長期経営計画 2030」では、デジタルを重要な経営戦略に位置づけ、従来のアセット事業に加え、デジタルテクノロジーを活用したノンアセット事業を収益の柱の一つにする戦略が定められています。

同社 DX推進部 マネージャーの小田 和樹氏は、DX推進部の役割の1つとして「働き方改革や業務課題の解決を、オフィスで働く環境、ITを活用した働く環境の両面で加速させること」と説明します。「新しい働き方、新たなオフィスのあり方を実践していくことは、当社のお客様へさらなる付加価値を提供していくためにも必要なことだと考えています」。

コロナ禍を経て、働き方が大きく変わりました。テレワークが本格的に進み、オフィスワークだけでなく在宅勤務も当たり前となる中、社員同士のコミュニケーションのあり方も変わりました。小田氏は「これまでの対面を前提としたコミュニケーションが難しくなり、オフィスでのふとした立ち話などで業務上のヒントを得ることや、会社や部署が発信する情報などが偶発的なコミュニケーションから伝播する機会が少なくなった」と話します。

また、対面のコミュニケーションから「Microsoft Teams」(以下、Teams)などのデジタルツールに移行しましたが、これまで会社や部署の重要な情報は「Microsoft SharePoint」(以下、SharePoint)を社内ポータルのように活用し、発信してきました。

ソリューション

2021年4月頃から社内コミュニケーション ツールとして使用していたSharePointの使い方を見直す話し合いを始めましたが、議論していく中で、Teamsに情報を集約し、見やすく、わかりやすくしていくことが最善策なのではという1つの結論に至りました。

そして、複数のベンダーから情報を収集した結果、アバナードが選定されました。「アバナードはMicrosoftのソリューション パートナーとして豊富な実績を有しているだけでなく、提案内容も優れていました。社員がコミュニケーション ツールとして頻繁に触れているTeamsを使い、いかに重要な情報をタイムリーに伝えるかという点に主眼が置かれていました。何よりも、私たちが実現したいことに最も合致していたことが最大の決め手となりました」と、小田氏は述べています。

さらにアバナードから、アジャイル開発の一種であるスクラム開発でアプリを作り上げていく提案をしていただきました。DXをスピーディに推進していくためには、内製でアジャイルにシステムやサービスをリリースしていくことが求められてきます。初めての取り組みで不安も有りましたが、アバナードが全面的にサポートし、伴走してくれることがわかったので、今回のプロジェクトに取り入れることにしました。「今回の開発経験を機に、社内にアジャイル開発の手法をノウハウとして蓄積していくことも大きな利点と考えました」。(小田氏)

開発プロジェクトは、2021年の夏頃からスタートしました。「2021年8月から12月頃までPoC(概念実証)を実施し、大事な情報をいかにタイムリーに、分かりやすく届けられるかに重点を置いて、プロトタイプとしてアプリケーションを作り、スクラムで検討し、それを改善するサイクルを繰り返した」と同社 DX推進部 マネージャーの白井 宏哉氏は話します。

スクラム開発のチームは、三菱地所から小田氏と白井氏がプロダクトオーナーとして意思決定をし、実際使用するユーザー部門の社員にもレビュアーとして参加してもらいました。アバナード側はスクラムマスター、デリバリーチーム、エンジニアやデザイナーなどが参加しました。また、インフラの構築、保守を行う三菱地所子会社のメック情報開発(2022年7月1日より「三菱地所ITソリューションズ株式会社」)も参加し、3社によるチーム体制になりました。

スクラム開発のプロセスでは、両社がOne Teamとなり、大小様々なリリースを1週間サイクルで行い、レビュアーのフィードバックをもとに改善を重ねるスプリントが継続して行われました。チームには、アバナードのアジャイルコーチである西崎 公太も参加し、日々のプロセスだけでなく、アジャイルのマインド醸成とともに、プロジェクトが円滑に進むようにサポートしました。アバナードのDigital Innovation Studio Japan Lead庄 昌子は「一連のプロジェクトのサイクルをユーザー社員の方にも協力を得ながら円滑に進めることができたのは、ユーザー社員に一番良い価値を届けるために、One Teamでのプロジェクト推進を受け入れ、任せていただいた点が大きかった」と振り返ります。

スクラム開発は、節目での全体振り返りの機会を除き、ほぼリモートで行われました。「スクラムイベントとして設計されたプロセスがあり、非常に緻密にプランされていました。迅速な意思決定を求められることも多く大変ではありましたが、プロジェクト進捗の可視化なども含めた管理もしっかりとされていました。毎週良かった点、悪かった点を話し合い、改善していくというPDCAサイクルが確実に遂行できていました」と白井氏は述べています。

全社リリースの2、3週間前に不具合があることが確認されるということがありましたが「リリースまで時間がない中で、チャットも使いながらコミュニケーションを密に取り、不具合解消に取り組んだ」ということです。

また、西崎氏も「開発段階から品質を作り込んでいたため、最終チェックで見つかった不具合も大きなものではなかったが、チームとしてリリース期限を一切諦めることのない“勇気”を実感する瞬間だった」と振り返ります。そのため「これまでのウォーターフォール開発であれば恐らくリリースを延期する判断をする」(白井氏)ところ、3社間の役割と、いつまでに何をするか、チェックポイントとタイムラインを明確にし、実行していくことを積み重ねた結果、オンタイムにリリースすることが可能になったということです。小田氏も「正にチームが“勇気”を持って、諦めることなく解決に向けて前進しているのは、チームワークの素晴らしさと、これまでのスクラム開発の積み重ねの成果だったと実感しています」と述べています。

成果

こうして2022年2月にリリースされたのが「miTene」です。Teamsにプラグインされ、スマートフォンやパソコンなどから会社からのお知らせなど最新情報をTeams上で1日2回、通知を受け取り、簡単に確認できるツールです。

定量面での効果として、白井氏は「全社展開後のデータはまだこれから」としながらも、「1日1回は、アプリケーションにアクセスされていることが確認され、会社から必ず伝えなければならない情報が社員に届いている」ことが確認されたそうです。

また、miTeneの付随機能として、Teams上に業務でよく利用するSharePointのリンク集を掲載し、社員にとって「探したい情報の文字通りポータルとなった」ことから、1日1人あたり5分相当の業務改善効果が見込まれるということです。

また、スクラム開発を通じて得られた知見について白井氏は「スクラムイベントは、設計されたプロセスに沿って意思決定をタイムリーに求められる」と話しました。「インプット、アウトプットの繰り返しはこれまでのウォーターフォール開発の5倍のスピードで進んでいくため、質、量ともに大変だったが貴重な経験だった」ということです。

何より大きいのは、スクラムの“勇気”ともいうべき、期日達成に向けて前向きな気持ちを持ち続け、本当の意味でのチームの力、アジャイル文化の浸透が大きな財産となりました。

今後は「miTene」のグループ会社への横展開を進めるとともに「Teamsをハブにして、情報を発信、社員がキャッチアップできる業務効率化の仕組みを考えていきたい」と小田氏は話します。スクラム開発を経験したメンバーはまだ少ないものの「今後、新しい仕組みを作っていくのに今回の経験が生かされることに期待したい」ということです。

そして、アバナードに対して白井氏は「アジャイルの観点で社内に文化を育んでいくためのパートナーとしての役割を今後も期待したい」と述べています。三菱地所のMicrosoftソリューション パートナーとして「単にシステムを開発するだけでなく、新たなテクノロジーやツールをいかに当社に適用できるか」ということで、当社の業務効率化や働き方改革に様々な示唆をいただけることを期待したい──、小田氏はこのように締め括りました。

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