イオン保険サービス : Microsoft Dynamics 365連携によるコールセンター最適化を支援

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未来の働き方

背景

全国のイオンモールなどに展開している来店型保険ショップ「イオンのほけん相談」などのチャネルを通じ、保険商品の販売等を手がけるイオン保険サービス株式会社(以下、イオン保険サービス)。同社のコールセンターは、Webサイトを見たお客様からの問い合わせ対応や、グループ従業員からの保険商品についての問い合わせに対応するヘルプデスク機能を、電話やメールなどで担っています。

営業本部 カスタマーサポート部 部長 山口 亮子氏は「2019年まではコールセンターも小規模で、オペレーター5人、社員3人くらいの陣容で運営していた」と説明します。2019年に全国に点在していた顧客対応や事務手続きのサポート機能をコールセンターに集約、増席するコールセンター改革が始まりました。

それに伴い、コールセンターシステムの刷新が検討されました。山口氏によると「当時はグループ会社のネットワーク、システムを間借りする運用で、ちょうどWindows 10への移行のタイミングも重なり、自社で新たにコールセンターシステムを構築しようという話になった」と振り返ります。

2021年1月頃から本格的に選定を開始し「選定開始後にコロナ禍のタイミングも重なり、将来的な在宅でのコンタクトセンター対応も視野に入れて」(山口氏)、クラウド型のソリューションの中からジェネシスクラウドサービス株式会社(以下、ジェネシス)の「Genesys Cloud CX」が選定されました。

2021年4月からGenesys Cloud CXの運用が開始され、同時に検討が開始されたのが「CRM連携に向けた開発」です。

山口氏は「コールセンターシステムとCRM連携は、多くの企業で当たり前のこととなっている」と話します。しかし、Genesys Cloud CX導入以前は、グループ会社のシステムを間借りしていたため「当社の顧客情報を紐づけることがコンプライアンス上できなかった」のです。このため、顧客DBとコールセンターシステムが分断され、オペレーターの負荷増大や、マルチチャネルで一貫した顧客対応が難しいという課題がありました。

ソリューション

そこでCRMシステムである「Microsoft Dynamics 365」とGenesys Cloud CXを連携させるプロジェクトが開始されました。具体的には、両システムの連携に必要なコネクターの開発です。

調査をしていくと両システムの連携には海外製のコネクターを使わないといけないことがわかり、日本語の対応が無く、使用に不安がありました。

日本語に対応できるコネクター開発ベンダーを複数社検討し、アバナードが選定されました。「アバナードは、当時コネクターを開発したばかりで、柔軟に対応してもらえる点や価格などを含め総合的な判断で決定しましたが、何よりも、Microsoft Dynamics 365をはじめマイクロソフトのパートナーとしての豊富な実績と信頼性が最大の決め手となりました」と山口氏は述べています。

連携コネクターはアジャイル開発で進められ、2021年6月から8月に開発を行い、動作検証などのテストを経て、同年9月には導入支援を実施、10月中旬に正式に運用を開始しました。

開発を担当したアバナードのマネージャー 田島 宗は「短い開発期間の中で開発優先度を整理しながら、イオン保険サービス様と何度も話し合いを重ね、使える機能になるよう進めていった」と述べています。

開発にあたっては、最優先事項として電話機能と確実に連携できること、またGenesys Cloud CX連携においては、通話録音を素早く再生できるようにすることに注力しました。これは、お客様からかかってきた電話の対応内容に齟齬が無いようにし、スピーディにフィードバックを得ることや、通話を振り返り、アウトバウンドのクロスセルなどで成約に至った成功事例の共有をオペレーター間で円滑に行うためのものです。

また、応対履歴を1通話で一つにすることで、別のオペレーターへの転送時には作成済の応対履歴をポップアップ表示し、再度お客様を特定する手間や間違った電話番号の申し送りを削減するなど、アウトバウンドの折り返し対応が増える負荷の抑制も実現しました。着信時には、お客様が複数いる場合でも正しく選択できるようにインターフェースを分かり易くし、顧客情報の自動検索・特定も簡単にできるようにしました。

さらに、CRMに顧客情報がない場合は、履歴登録画面が自動で立ち上がり、音声データとともに容易に履歴の作成が行えるようにしました。

開発の過程では「アバナード開発チームと密に打合せをすることで議論を尽くし要望を漏れなく伝えられ、打合せの度に必要なことへの気付きが有り、抜かりなく詳細を詰めていけたことは非常に有難かった」と山口氏は述べています。

また、Microsoft Dynamics 365の構築を担当したベンダーや、ジェネシスとも密にコミュニケーションを取り、責任範囲の切り分けを行うことでプロジェクトが円滑に進むよう、問題点を解消していきました。「細かいところまでサポートしてくれ、開発は順調に進みました。また、トレーニングを含めた導入サポートもスムーズに運用を始められる助けとなりました」と山口氏は振り返ります。

成果

Microsoft Dynamics 365とGenesys Cloud CXの連携による効果について、山口氏は「導入から間もないため、定量的な数値はこれから検証する段階だ」としつつ、大きな効果として認識している点として「アウトバウンドの履歴作成の容易さ」を挙げます。

例えば、新規顧客の履歴登録には手間がかかるため「履歴登録を忘れてしまう、あるいは登録の途中でお客様から折り返し着信があると、電話を取った別のオペレーターがどのお客様からの電話か辿ることが難しくなってしまう」という課題がありました。しかし、Microsoft Dynamics 365とGenesys Cloud CXの連携により電話番号からお客様を探す作業がゼロになりました。

また、受けた電話を別のオペレーターに転送する場合、お客様情報の画面が、転送先のオペレーターにそのまま引き継がれるため、転送された側は履歴を確認して一貫した対応が可能になり、お客様側の満足度が高まることにも貢献しています。

今後は、メッセージング機能を用い「電話を受けたお客様に対し、SMS宛にオンライン手続きの方法を送信する」といった対応を加速させたいと山口氏は話します。その先には、AIチャットボットの展開も見据えているそうです。

また、データの利活用も積極的に行い「Genesys Cloud CX側に蓄積された入電率のデータと、Microsoft Dynamics 365に蓄積されたデータを分析して、洞察を得ることも実現したい」と山口氏は述べました。

コロナ禍を経て、非対面でのペーパーレスの手続きへの抵抗が薄れてきています。コールセンターの役割も変わり、電話で相談を受けてWebで契約まで完了できるような業務フローへの改革も必要性が高まっています。

山口氏は「当社まだまだシステム化が遅れている」とした上で「Microsoft Dynamics 365とGenesys Cloud CXの連携を機に、今後は、遅れている非対面チャネルの整備、契約に至る業務フローの最適化に向けて取り組みたい。今まではある程度出来たものを自社で改善してきたが、今後はイチから作り上げていかなければならない検討になり、アバナードにはその進め方などの提案含めサポートしていただくことに期待したい」と今後の展望を述べました。

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