小売業界、AIファーストの現実
アバナードが独自に実施した最新の調査では、生成AIの準備状況について、小売業界300社のシニア リーダーの視点が明らかになり、その信頼レベルが評価されています。
AI導入への備え:願望か、それとも現実か?
アバナードの調査により、小売企業では多くの分野においてAI対応への自信の程が驚くほどしっかりしていることが明らかに
小売企業の94%は、競合他社に比べて迅速にAIのメリットを活用するための準備が整っていることを強く確信、または概ね確信していると回答しています。一方で96%は、組織のリーダーが生成AIとそのガバナンスの必要性について理解していると強く確信、または概ね確信していると回答しています。さらに、97%は、自社のリスク管理プロセスが、生成AIの全社的な技術統合に対して適切であることを強く確信、または概ね確信していると回答しています。
おそらく最も驚くべきことは、準備が進んでいるのは企業側だけでなく、顧客も同様であることが示されたことです。回答者の88%は、AIを介して行うやり取りやプロセスの全て、または大部分に対して、顧客の対応準備が整っていると回答しました (全業界の平均85%を上回る)。
準備状況におけるパラドックス
このように積極性が示されているにもかかわらず、アバナードの調査では、小売企業のAI導入準備について、全体的に大きなギャップがあることが明らかになりました。たとえば、50%の小売企業では、生成AI拡大のための職務保護に向けた人的資本/人材計画プロセスの導入を開始したばかりです。
一方で、50%は責任あるAIについてガイドラインの一部のみを導入、もしくは策定中であり、未だに導入まで至っていません。最後に、45%がCopilot for Microsoft 365などの生成AIツールを使用するために、従業員のオンボードやトレーニングに多大な支援が必要であると考えています。
調査の結果では、企業側の自信をうかがえる一方、AIファーストの時代に成功を収めるには、まだまだ大きな変化が必要であることが示唆されています。
ユース ケースの調査結果
多くの小売企業ではAI導入準備の途上にあることが明白とはいえ、ショッピング カートが溢れるほどにある手持ちのユース ケース見直しを諦める理由にはならず
AIが従業員に与える最も大きな影響について尋ねたところ、回答者の50%は、創造的なインスピレーションやイノベーション、もしくは、よりインテリジェントな行動と回答しました。
また、最も期待を寄せるAIのユース ケースを尋ねたところ、最上位はマーケティング キャンペーンの最適化で、約半数 (43%) が上位3つの優先項目として挙げています。実践的な顧客インサイトの自動化を非常に重視しており、最も期待するユース ケースの上位4つのうち3つが、顧客インサイトに関するものとなりました。
43
%
マーケティング キャンペーンとプロモーションの最適化
41
%
ソーシング、リスク評価、ルート最適化
36
%
消費者動向の分析とインサイトの自動生成
34
%
需要予測の精度向上
データ デリジェンス(デュー デリジェンス)
今後AI導入を検討しているのであれば、それは堅実的な取り組み
2024年に向けたデジタル投資の優先順位を尋ねたところ、データおよび分析プラットフォームとクラウドのモダナイズの組み合わせが上位を占めました。これは、AIが導く可能性を実現する上で、強力なデータとクラウド基盤が重要であることを、小売企業がしっかりと認識していることを示しています。