銀行はAIによる効率化を重視
アバナードAI準備状況レポートでは、300人以上の銀行業界の専門家が人工知能の可能性と価値について考察しています。
AI導入への備え:銀行にはテクノロジーと人材への投資が必要
大規模なデータと分析への投資、そしてスタッフのトレーニングが不可欠
AIをビジネス全体に拡張するために、自動化、データ、分析プラットフォームが重視されています。しかし、これが必ずしも人員削減につながるわけではありません。むしろ、AIは職場で行われるタスクの性質に変化をもたらすでしょう。銀行員のほぼ4分の1 (24%) は、Copilot for Microsoft 365などの生成AIツールの活用で、よりスマートな働きができるようになると考えています。
一方で、インタビューに応じた銀行の半数以上 (53%) は、スタッフが生成AIツールを使用できるようになるためのトレーニングに多大な支援が必要になると考えています。ヨーロッパのある銀行員は次のようにコメントしています。「企業の多くで収集されているデータは、機械学習やAIに適したものではありませんでした。リスク管理やコンプライアンスへの縛りが非常に大きく、実用的ではないかもしれません。KYC(顧客対応)や信用リスクには、本来、有用なデータが多く含まれています。」
銀行のユースケース トップ3
銀行のCxOは、最も期待を寄せるAIのユースケースに、顧客オンボーディングの自動化 (42%) を挙げており、次いで不正検出 (41%)、リスク、規制、コンプライアンス要求の自動化 (41%) となっています。
テクノロジーへの理解が不可欠
銀行業務でAIを拡大するために、2024年に最優先とするべき投資先は、Microsoft FabricやPower Platformなどの自動化、データ、分析プラットフォーム (57~62%) です。
業界のオピニオンリーダーの半数以上 (51%) が、生成AIとそのガバナンスの必要性を理解していますが、米国のある銀行員は次のように指摘します、「運営委員会や取締役会は、常にテクノロジーに精通しているわけではありません。経営陣はAIの可能性に期待を寄せてはいますが、「AI対応」が何を意味するのかを必ずしも理解していません。多くが、クラウド化への道のりで苦労を重ねています。クラウド ネイティブの技術を使うどころか、まだクラウドに完全に移行していない企業も多くあります。 (私たちは)いまだにクラウド対応もされていない、モダナイズが必要なアプリケーションを使用しているため、このままでは、生成AIの能力を引きだすこともできません。」
AIはより優れた戦略
銀行業界のリーダーにAI戦略の主な目的を尋ねたところ、その実際の影響については、効率性、イノベーション、エンパワーメント、満足度のいずれにおいても、全業界の中で最下位でした。また、最も危機感を抱いているのも銀行でした。
62
%
およそ3分の2がAIによりスタッフ数が増加すると予想
59
%
銀行員の10人に6人が日常的にAIを使用していると回答
28
%
3カ月以内にAIの影響を評価できるのは4社に1社のみ (全業界で最下位)
41
%
ガイドラインを完備しているのは10社に4社のみ (全業界で2番目に低い)
Next Steps:AI対応のデータ、モダナイズ、サイバーセキュリティ
銀行が適切なユースケースを慎重に見極め、リスクを軽減して規制遵守に臨んでいるのは明らかです。ただし、ある分野の課題だけは解決されていません。データをAIに対応させてクラウド環境で管理し、アプリケーション ポートフォリオとコア バンキング システムをモダナイズする必要があります。さらに、サイバーセキュリティ対応の運用が必要なほか、スタッフには新しい生成AIツールを効果的に使用するためにかなりのトレーニングと成長が求められています。