アバナードが、みずほ証券のChatGPT「MOAIチャット」の導入支援を通じて、生成AIの業務活用とリテラシー醸成を支援
背景
みずほフィナンシャルグループの総合証券会社であるみずほ証券株式会社(以下、みずほ証券)は、中期経営計画のもと、DXを重点テーマの一つに位置づけ、フロント部門や間接部門の業務改革を進めています。安武氏は「デジタル技術やデータ利活用を“手段”とし、お客様により良いサービス、さらなる付加価値を提供していくことに取り組んでいる」と説明します。
テクノロジーの活用において、特に「生成AI」は金融業界においてもインパクトの大きなテーマとなりました。安武氏は「ChatGPTが発表されて以降、同テクノロジーをいかに活用していくかがテーマだった」とし、テクノロジーの進展という環境変化にみずほ証券としてどう対応していくか「単に生成AIを業務に活用するだけでなく、次のステップとして、どのようにお客様や従業員に新たな価値を提供していくか、検討する必要性が高まった」と説明しました。
そこで、2023年2月頃より、生成AI活用のための環境整備について検討が開始されました。検討テーマは大きく次の2つの軸があります。1つは「生成AIに対するリテラシー醸成」です。そのためには、スピーディに、会社の環境から「従業員が安全に生成AIに触れることのできる環境の整備が急務だった」と安武氏は話します。
そして2つ目は「実際の業務にどのように適用するか」の検討を、同時並行的に進めていくことです。
成果
2023年7月7日にリリースされた、みずほ証券版ChatGPTともいえる生成AI基盤は「MOAIチャット-Build on ChatGPT-」と名づけられました。グループ含む約1万人の全社員が使うことができ、主に「議事録やレポート等の文章作成」「プログラミングコード生成、開発業務効率化」「マーケティングやコンプライアンス業務での活用」といったユースケースで利用されています。
導入後の業務活用についても、アバナードの支援のもと、様々な施策が実施されています。その1つが「MOAIチャット勉強会」です。これは、アバナードから講師を招き、基本操作編2回、業務活用編2回の計4回、全社員参加のオンライン会議形式で行われたものです。最大で300名がリアルタイム視聴し、開催後は「社内のDX特設サイトでアーカイブ動画が閲覧できるようにした」と安武氏は説明しました。
「導入直後に、意図的に関する社内露出を高めた効果もあり、MOAIチャットには約2カ月で10万近くのアクセスがあり、多くの人に生成AIに触れてもらうことができた」ということです。
もう1つが「アーキテクチャ検討会」です。これは7月下旬から週次単位で実施されたものです。安武氏は「アバナードから有識者を招き、生成AI活用についてアイデアを持つ社内の7部門から個別に参加者を募り、アイデアの実現可能性や、アーキテクチャの観点からアドバイス、活用事例紹介などディスカッションを行った」と説明しました。
さらに、社内の業務部門で、業務課題の解決をIT面から担う、いわゆる市民開発の担当者に向けて、業務アプリケーションに生成AIを組み込めるよう、機能をAPIとして提供する仕組みも整備しました。機能提供をリリース直後から開始したことで、特に社内の業務効率化はスピーディに取り組みが進んでおり「生成AIを組み込んだ業務アプリケーションのプロトタイプ構築は拡大しており、実際の業務での活用も進んでいる」ということです。
今後について、安武氏は「生成AIの業務活用を引き続き進めると同時に、生成AIを機械学習などの特化型AIなどともうまく組み合わせながら、さらなる業務適用を実現していくことがポイントになる」と話します。「本格的な業務適用のフェーズに進むためのニーズの深掘りや、その前提となる情勢の理解を深め、具体的な成果に結びつけていきたい」ということです。
また、安武氏は「生成AIだけでなく、テクノロジーの進化は日進月歩だ」とし、スピーディにテクノロジーを評価し、社内にデリバリーする重要性はますます高まる」と、その点でマイクロソフトに精通したアバナードとのパートナーシップが重要になってくると話しました。