足利銀行 : Power Platform を活用した業務効率化を支援
背景
株式会社足利銀行(以下、足利銀行)は、関東北部を地盤とする地方銀行です。金融自由化が進む銀行業界では、他業種からの参入やネット銀行の誕生によって競争が激化。さらに、長く続く低金利政策によって収益を確保することも難しくなっていました。
このような状況を背景に、銀行業界では最新のITを活用する業務効率化が進んでいます。多くの銀行が取り組んでいるのは、紙帳票の削減・廃止(ペーパーレス化)とRPAによる作業の自動化です。それによって、顧客の利便性が高まるものと期待されています。
足利銀行では従来からRPAに取り組んでいたチームを統合する形で新組織「BPR推進室」を2020年4月に立ち上げ、Microsoft 365などの最新のITツールを活用した全行レベルの業務プロセス改革(BPR)をスタートさせました。
ソリューション
プロジェクトがスタートしたのは、2020年10月。BPR推進室は、まず、Microsoft Power Platform(以下、Power Platform)を業務プロセス改革用のツール候補として選定しました。
さらに、Power Platformを使うのはこれが初めてだった足利銀行は、概念実証(PoC)までの作業に専門企業の支援を求めることにしました。導入支援の実績が多く、要件整理からPoCまでの作業をわれわれと一緒にやってくれることを条件にしました」と、小林氏。その結果、金融機関向けのPower Platform導入支援実績が豊富なアバナードに支援を依頼することに決まりました。
PoCを実施するための要件整理が始まったのは、2021年1月。小林氏は「まずは、われわれがローンセンターの現場担当者にインタビューをして、住宅ローンの業務要件と業務プロセスフローを整理するところから始めました」と振り返ります。整理にあたっては、紙書類を必要最小限のものに絞り込む方針で検討しました。
成果
PoCを終えた小林氏は、プロジェクトの成果をこのようにまとめています。ローン事業を統括するローン事業部に検証の結果を説明したところ、反応も上々。事業部門の高評価を励みに、BPR推進室は実運用への移行計画を練り始めたところです。
まず、2021年度上半期(4月〜9月)に予定されているのが、住宅ローン審査業務用のアプリの開発とテスト。それと並行して、実運用に必要なソフトウェアライセンスを購入したり、他業務システムと連携するための機能を組み込んだり、といった準備作業も実施。
その後、2021年度下半期(10月〜2022年3月)にローンセンターでの実運用開始を目標としています。業務への影響を最小限とするために、ローンセンター全店(15店舗)への一斉展開はしないのがBPR推進室の方針。現場で実際に使ってみないと発見できない要改善点を組み込みながら、段階的に開放していく予定です。
「このプロジェクトを通じて、ITの専門企業と協働してより高い目標に取り組むことがわれわれの進むべき道、という思いを強くしました」と語る、小林氏。ベンダーが持ってきたものをそのまま使ったり、要望だけ伝えてソフトウェア開発を任せたりするやり方では、けっして良いものは生み出せないとBPR推進室は考えています。